東大寺のマツの防除にEMが使われている2

マツ枯れに対する通常の防除が行われていない東大寺


このままの状態だとどうなるか。

1 感染源が近くにある場合
感染源とは、マツ材線虫病によって今年枯れた松のこと。まるで紅葉しているかのように、針葉が褐色に見える状態。このような松にはマツノマダラカミキリが産卵していることが多く、来年の5月上旬には成虫となって松から脱出する。感染源からの距離と材線虫病の発生確率は、1kmで11.7%、2kmで1.4%(吉田、2008)。なお、殺虫剤散布によりマツノマダラカミキリの密度が減れば、感染率は低くなる。奈良に住んでいないので近くに枯れた松があるかどうか分からないが、地図を見る限りでは、東大寺の裏はすぐ山である。

2 感染源が近くにない場合
枯れた松が近くになければ、あるいは枯れていても関係者(東大寺の、とは限らない)の努力で薫蒸されていたりチップ化されていたりすれば、当然マツノマダラカミキリがいない状態なので枯れない。また、近隣の林で殺虫剤散布によりマツノマダラカミキリの密度が減っていれば、感染率は低くなる。


つまり、東大寺の松がもし枯れないのであれば、それはEMを散布しているからではなく、感染源が近くにないからか、東大寺の周りできっちり防除が行われているか、あるいはたまたま被害を免れているかのいずれかと考えられる。
もし、枯れた松が東大寺の近くにあるのであれば、数年のうちに枯れる確率はとても高いと思う。